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弁護士法人アリスト
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5. 治療について(治療費、休業損害、症状固定と慰謝料、後遺症について)
(1) 治療費の支払いについて
被害者に過失が無いか少ない場合は、保険会社が病院に直接治療費を支払います。その中で、被害者の長期入院、あるいは過失の割合によっては保険会社から健保・国保を使うように保険会社から言われることがあります。これは少なくともこちら側にとって損失にならず、かつ相手方の出費を軽くすることで、より解決が見込めるため、健保・国保を使用してよい局面が多いでしょう。
治療が長期化しないようであれば示談の際に治療費の合計も併せて請求することになります。治療が長期化すると保険会社は医療照会ないし医師との面談により終了時期を知ろうとします。その際に「同意書」を保険会社から要求されることがあります。
同意書は上記の医療照会のため、もしくは後遺症認定手続きの際、レントゲン、MRI、診療報酬明細書を保険会社が取り付けるために求めるものです。一般的にはこれに同意することに問題はないと考えます。ただし、損保の医療照会は治療の打ち切り等を目的としている性質上、当然担当者は医師から損保に都合の良い意見を引き出そうとします。従って、一方的な意見形成を防ぐため、医師ときちんとコミュニケーションを取る必要があります。
(2) 休業損害について
休業損害とは、交通事故による傷害等のため、仕事を休んだ期間について得られなかった賃金や減収分をいいます。
① 給与所得者の場合
被害者として収入を立証する必要があるため、休業損害証明書を職場で発行して貰う必要があります。また源泉徴収票、あるいはそれが不可能な場合には課税証明書が必要です。
② 自営業者の場合
前年度の確定申告書の写し、ないし、課税証明書等が必要です。自営業者であるのに、確定申告をしていない場合、過小申告を している場合は問題になってしまいます。実際はもっと収入があった、という事実を争っていくことになるのですが、示談では当然に、また裁判でもこれが認められることは少なく、あくまで申告基準での数字しか認められないことが多いのが実情です。
③ 家事従事者(専業主婦、主夫)の場合
賃金センサスなど統計による平均賃金を基準にします。主婦の場合は現実には収 入がなくても休業損害が認められます。
④ 幼児、生徒、無職の方の場合
これらの人には休業補償は原則ありません。
(3) 治癒ないし症状固定の時期について
治療は(1)治癒、(2)症状固定の何れかで終了します。治癒は傷病の結果がなおってしまうことですが、症状固定とは「投薬や理学療法によっても症状が一時的に改善するに過ぎない状態」に至ることです。すなわち傷病の本体は治療をしてもそれ以上改善しないから、「症状固定」以後は被害者は治療費を請求できません。休業損害も請求できなくなります。さらに、慰謝料の算定についてもこの期間は重要な意義があります。なので、この点については担当医に十分説明を受け、納得したうえで症状固定について診断書を取るべきと考えられます。
(4) 後遺症について
後遺症の損害額を検討するには、後遺症の程度が問題となってきます。これは一般には後遺障害等級という基準により、(•) 級、という形で判断されます。後遺障害等級認定を行う方法としては、 いわゆる事前認定と被害者請求という方法があります。
被害者請求(16条請求)とは、被害者が、加害者の自賠責保険会社に対して、直接損害賠償額の請求をしてゆく方法です。これに対し、 事前認定とは、任意保険会社を通じて後遺障害の等級認定を行う方法です。
(ア) 後遺障害の事前認定(被害者請求)をしない場合
症状固定の段階で完全な治癒でなければ、一般的に後遺障害の認定手続(事前認定)をしますが、自覚症状のみが残っている場合(むちうち等)は認定手続を しても後遺症が認定されない場合が多いのが実情です。このようなケースでは事前認定をせずに、示談交渉に入る場合もあります。
(イ) 後遺障害の事前認定(被害者請求)をする場合
事前認定の流れ
医師に後遺障害診断書を作成して貰い、任意保険会社に提出します。任意保険会社はレントゲンやMRIなどをこれに加え、損害保険料率算出機構に提出します。損害保険料率算出機構が後遺障害について審査し、その結果を任意保険会社を通して被害者に連絡します。
被害者請求の流れ
被害者の過失が大きい等の理由で任意保険会社が交渉の窓口となっていない場合は、被害者自らが自賠責保険に被害者請求の方法により後遺症等級認定手続きをします。勿論、任意保険会社が交渉の窓口となっていても被害者請求は可能です。
認定結果
後遺障害が認定されなかったならば「非該当」、認定される場合は1級から14級までの等級がつきます。
異議申立
「非該当」の認定や認定等級に不服であるならば、異議申立をします。その際、認定が不当であること証明する資料として、医師の診断書や意見書を添付する必要があります。
異議申立ての理由は認定理由に対応していなければなりません。これは後遺症認定の仕組みに乗っ取って、論理的に行わねば効果的な異議は申し立てられません。
後遺症の等級がどのような要件で認定されるか検討し、合理的な反論を行う必要がありますが、この段階まで至ると難しいというのも実情です。そのような場合には弁護士への相談をお勧めします。
訴訟を起こす際の注意点について
訴訟手続きが始まると、等級認定手続きは停止してしまいます。もし示談交渉ではなく訴訟による解決を当初から目指しているのであれば、後遺症等級の認定に対して異議申し立てをしている場合、異議申し立てについて結果が出てからにした方がよいと考えられます。
被害者は何が請求できるか
事前認定の結果をふまえて、示談交渉に臨むことになりますが、「非該当」の場合、損保は示談交渉では後遺障害についての支払いに応じてくることはまずありません。「非該当」だが後遺障害を請求する場合は原則として訴訟によることになります。後遺障害が認定された場合はそれに後遺症損害(逸失利益及び後遺症慰謝料)を加えたものになります。
(3)後遺症等級が認定されたなら
後遺症により等級が認定された場合、等級や事例によるとはいえ、その金額は損害の中の大部分を占めることになることが多いのが実情です。さらに後遺症損害については、等級によって目安となる賠償額がある程度ありますが、交通事故や後遺症については事例が千差万別であり、必ずしも一義的に決まるわけではありません。従って、等級が出た時点で、弁護士に相談し、示談するのならばどの程度の条件ならよいか、あるいは訴訟を提起すべきか、見通しを立てていく必要があります。死亡事故や後遺症の等級が認定された事案などは示談交渉をせず、訴訟に入ることが望ましいケースもありますが、この点については専門家が判断することがある程度重要になると考えられます。死亡事故、後遺症等級が認定された事案(特に12級以上)は判断に慎重を要する件であり、早い段階から 弁護士に相談することをお勧めします。
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